米国株では、株式分割(1株を複数に分ける)や株式併合(複数の株を1株にまとめる)がたびたび行われます。株数が変わると、1株あたりの取得単価も変わります。この記事では、その計算の決まりを条文と計算例で説明します。

条文の決まり

所得税法施行令110条1項は、株式の分割または併合があった場合の1株あたりの取得価額を、次のように定めています。

旧株1株の従前の取得価額 × 旧株の数 ÷ 分割または併合後の所有株式の数

つまり、持っている株の取得価額の総額は変わらず、株数だけが変わるので、1株あたりの取得単価は株数の増減に応じて変わります。この計算は、株式を譲渡したときの取得費の計算にも準用されます(同施行令118条2項)。

下の計算例は、考え方を分かりやすくするためにドル建てで示しています。日本の所得税で株を譲渡したときの取得費は、取得の対価を円に換算した金額をもとに計算します(外貨建ての株式の取得の対価は、約定日の電信売相場で円に換算するとされています。措置法通達37の10・37の11共-6)。円に換算した取得価額の総額も、分割・併合の前後で変わらず、株数だけが変わります。

同じ銘柄の株式が無償で割り当てられた場合(株式無償割当て)も、同施行令111条2項で、分割と同じ形の計算が定められています。

計算例

株式分割(1株を4株に)

1株200ドルで10株(総額2,000ドル)持っているときに、1株を4株に分割した場合です。

分割前分割後
株数10株40株
取得価額の総額2,000ドル2,000ドル(変わらない)
1株あたりの取得単価200ドル2,000 ÷ 40 = 50ドル

株式併合(10株を1株に)

1株3ドルで100株(総額300ドル)持っているときに、10株を1株に併合した場合です。

併合前併合後
株数100株10株
取得価額の総額300ドル300ドル(変わらない)
1株あたりの取得単価3ドル300 ÷ 10 = 30ドル

取得の日の扱い

施行令110条1項は、分割または併合後の株のうちに旧株が含まれているときは、その旧株は分割または併合の日に取得されたものとみなす、とも定めています。これは取得の日の扱いです。取得価額は上の式のとおり従前の取得価額を基礎として計算するため、取得したとみなされる日が変わっても、その日の為替レートで改めて計算し直すことにはならないと考えられます。

注意したい点

  • 株数が割り切れない場合(端数): 併合などで1株に満たない端数が生じると、その分を現金(ドル)で受け取ることがあります(この記事で取り上げた条文には、端数の扱いの定めはありません)。端数分の受け取りは、下の「ドルの為替差損益には影響しない」の例外になります。扱いは個別の事情によるため、証券会社の取引報告書や、税理士等の専門家にご確認ください
  • 証券会社の計算とご自身の記録: 証券会社の取引報告書などの数字と、ご自身の記録が食い違う場合は、ご自身の記録で分割・併合の反映が漏れていないかを確かめてください

ドルの為替差損益には影響しない(端数の現金を除く)

株数が変わるだけの株式分割・併合では、ドルの受け払いはありません。所得税基本通達57の3-1は、外貨建取引を「支払が外国通貨で行われるべきこととされている取引」としています。この定義に照らすと、外国通貨での支払いが無い分割・併合は外貨建取引に当たらず、ドルの残高と平均取得レート、ドルの為替差損益の計算には入らないと考えられます。

ただし、端数分を現金(ドル)で受け取った場合は、手元のドルが増えます。 その扱いを定めた規定は、この記事で取り上げた条文にはありません。ドルの残高の計算に含めるのが自然と考えられますが、税理士等の専門家にご確認ください。

TaxelPort では、株式分割・無償割当て・株式併合を、株数だけが変わる取引として記録できます。取得原価の総額は変えずに株数だけを変え、ドルの残高・為替差損益の計算には含めません。株式併合で端数を現金で受け取った場合は、本サービスでは便宜上、その分を「売却」として別に登録していただく案内にしています(ドルの増加として計算に入ります)。

出典

為替差損益の計算を自動化する

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