米国株の取引で生じたドルの為替差益について、「20万円以下なら申告しなくてよい」という説明を見かけることがあります。これは一定の条件を満たす給与所得者についての決まりで、誰にでも当てはまるわけではありません。また、所得税の確定申告が要らなくても、住民税の申告は別に必要になることがあります。
この記事では、20万円の決まりの中身と、為替差益で間違えやすい点を整理します。
20万円の決まりの中身
国税庁の説明では、次の条件をすべて満たす給与所得者は、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下であれば、原則として所得税の確定申告は要らないとされています(国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人)。
- 給与の収入金額が2,000万円以下
- 給与を1か所から受け取っている
- その給与について源泉徴収と年末調整を受けている
自営業の方、給与を2か所以上から受け取っている方、年末調整を受けていない方などは、条件が異なります。ご自身が当てはまるかどうかは、国税庁の説明で確かめてください。
間違えやすい点
1. 20万円は「収入」ではなく「所得」
判定に使うのは、収入金額から必要経費を引いた所得金額です。ドルの為替差益なら、使ったドルの円換算額(収入金額)から、そのドルを取得したときの金額(必要経費)を引いた差額にあたります(「ドルの為替差益を確定申告するには」)。
たとえば1年間に合計100万円分のドルを使っても、為替差益が3万円なら、判定に使うのは3万円のほうです。
2. 20万円は為替差益だけの金額ではない
対象は、給与所得と退職所得以外の所得の合計です。為替差益のほかに、副業の収入による所得などがあれば、それも合わせて判定します。為替差益が10万円でも、ほかの所得と合わせて20万円を超えれば、確定申告が必要になります。
3. 確定申告をするなら、20万円以下でも含める
医療費控除などを受けるために確定申告をする場合は、20万円以下の所得も含めて申告する必要があるとされています(国税庁 No.1900 の質疑応答)。「20万円以下は書かなくてよい」のは、確定申告をしなくてよい場合に限った話です。
4. 住民税は別に申告が必要になることがある
20万円の決まりは所得税の確定申告についてのものです。住民税にはこの決まりが無いため、所得税の確定申告をしない場合でも、お住まいの市区町村へ住民税の申告が必要になることがあります。
所得税の確定申告をすれば、その内容は市区町村に伝わるため、住民税の申告を別に行う必要は通常ありません。確定申告をしない場合の住民税の申告の要否や方法は、お住まいの市区町村にご確認ください。
5. 為替差損は他の所得と相殺できない
為替差損益は雑所得です。雑所得のマイナスは、給与など他の区分の所得と相殺できず、翌年に繰り越すこともできません。同じ雑所得の中であれば、ほかの黒字と相殺できます。
まず1年分の金額を把握する
20万円を超えるかどうかを判断するには、まず1年分の為替差損益を計算する必要があります。ドルを使うたびに損益が生じるため、取引が多いと手計算では把握しにくくなります。
TaxelPort の「確定申告用のまとめ」では、1年分の収入金額・必要経費・所得金額を表示します。申告が必要かどうかは、ほかの所得や控除によって変わるため、判断に迷う場合は税理士等の専門家または所轄の税務署にご相談ください。
まとめ
- 20万円の決まりは、給与を1か所から受け取り年末調整を受けている人などに限った、所得税の確定申告についての決まりです
- 判定に使うのは為替差益の「所得」で、ほかの所得とも合わせた合計です
- 確定申告をする場合は、20万円以下の所得も含めて申告します
- 住民税は別に申告が必要になることがあります
為替差損益の計算を自動化する
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