NISA口座で米国株を買うと、売却益や配当が非課税になります。では、株を買うために用意したドルの為替差益も非課税になるのでしょうか。この記事では、NISAで非課税になる範囲と、ドルの為替差損益との関係を整理します。
NISAで非課税になるもの
国税庁の説明では、令和6年以降のNISAで非課税になるのは、非課税口座のつみたて投資枠・成長投資枠で取得した上場株式等の配当等と、その上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益です(国税庁 No.1535)。
注意点として、次のことも示されています。
- 非課税となる配当等は、非課税口座を開設している金融商品取引業者等を経由して交付されるもの(株式数比例配分方式を選択したもの)に限られます
- 非課税口座で取得した上場株式等を売却して生じた損失は、ないものとみなされます。特定口座や一般口座の配当・譲渡益との損益通算や、繰越控除はできません
ドルの為替差損益との関係
外貨決済で米国株を買う場合、2つの損益を分けて考えます。
| 損益 | 何の損益か | NISAとの関係 |
|---|---|---|
| 株の売買損益 | 株を買ってから売るまで(株を持っていた間の為替の動きを含む) | NISA口座で取得した株なら、売却益は非課税 |
| ドルそのものの為替差損益 | ドルを取得してから、そのドルを使う(株を買う・円に戻す)まで | NISAの非課税の対象として挙げられていない |
国税庁の質疑応答事例では、外国株式を外貨建てで譲渡した場合、株を持っていた間の為替の変動に相当する部分は、株式の譲渡所得に含まれ、雑所得として分ける必要はないとしています。NISA口座の株であれば、この部分も売却益として非課税の対象になると考えられます。
一方、株を買う前にドルを持っていた間の為替の動きは、株の譲渡所得ではなく、ドルそのものの為替差損益です。国税庁の質疑応答事例には、預けていた外貨で外貨建MMFに投資したときに為替差益を認識するとした例があります。NISAで非課税になるのは上場株式等の配当と売却益とされており、ドルそのものの為替差損益はその範囲に挙げられていません。そのため、NISA口座の株を買うためにドルを使ったときも、ドルの為替差損益は通常どおり計算の対象になると考えられます。
ただし、この記事で取り上げた国税庁の資料(No.1535・質疑応答事例)は、NISA口座での購入とドルの為替差損益の関係を直接取り上げてはいません。ご自身の申告での扱いは、税理士等の専門家または所轄の税務署にご確認ください。
計算例
1ドル140円で用意した1,000ドルで、1ドル150円のときにNISA口座で米国株を買った場合です。
- ドルの為替差損益: (150 − 140)× 1,000 = +10,000円(上の考え方では、NISAの非課税の対象外で、ほかの為替差損益と同じく雑所得として扱われることになります。税務大学校の論文は、為替差損益は実務上雑所得として取り扱われているとしています)
- その後、株を売って売却益が出た場合: NISA口座の株の売却益として非課税
円貨決済の場合
円で代金を支払う円貨決済で買う場合は、ドルを持つ期間が無いため、ドルの為替差損益は生じないと考えられます。所得税基本通達57の3-2の注書き4は、円で外国通貨を購入し直ちに資産を取得する場合は、実際に支払った円の額をその資産の円換算額とすることができるとしています。
TaxelPort での扱い
TaxelPort は、口座の区分(NISA・特定口座・一般口座)を区別せずに取引を記録し、NISA口座で買い付けた株式の代金に使ったドルも、為替差損益の計算に含めています。
まとめ
- NISAで非課税になるのは、NISA口座で取得した上場株式等の配当等と売却益です
- 株を持っていた間の為替の動きは、株の売却益に含まれるとされています
- 株を買う前にドルを持っていた間の為替の動きは、ドルそのものの為替差損益で、NISAの非課税の範囲には挙げられていません
- NISAとドルの為替差損益の関係は、この記事で取り上げた国税庁の資料では直接取り上げられていないため、判断に迷う場合は専門家にご確認ください
出典
為替差損益の計算を自動化する
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